「不変の真理」はなぜ現在形か?



  • The teacher taught us that the earth is round.
    「先生は、地球が丸いと教えてくれた」
これをthe earth was roundとやってはいけない...というのが「時制の一致の例外」だ。だが何故「過去形」ではいけないのか? 改めて聞かれると答えに詰まる。「過去」も「地球」は丸かった。「現在」でも「丸い」。そして「未来」でも「丸いであろう」ということから、「真ん中を取って現在形か!」などと筆者は高校生のころ勝手に考えていた......





文法・読解に偏重しがちだった旧来の英語教育を改めて、より実用的な英語コミュニケーション能力を育成するべく「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能をバランス良く身につけようとする方針が文科省の学習指導要領において押し出されるようになって既に久しいですが、近年ではそれが大学入試制度改革や小学校の英語授業などにおいても少しずつ具体的に反映されるようになってきています......



thatとtheの謎



the richで「お金持ち...」という意味になることは、受験生諸君はご存じだろう。これを「the rich (people)の省略である」と教える先生もいる。無論これは間違いだthe rich peopleでは「そのお金持ちの人々」となってしまう。the rich=rich peopleで「(一般に)お金持ちの人々というものは...」という意味だ。確かにtheは「冠詞」である。冠詞は分類学上は「形容詞」なのだから、後ろに「名詞」を補いたくなる心理はわからないでもない。しかしちょっと考えれば「あれ?」と中学生でも疑問に思うはずだ。いろいろ検索してみたが、「何故そうなるのか?」を説明しているものは皆無だ。故にここからは「鈴木説」として話半分に聞き流してもらいたい。ただしこの説だとthattheのすべての謎が解けるのだ。まず念のため確認しておくと、英語ではtheを定冠詞、a/anを不定冠詞と呼んでいる......





今月号は「文型の嘘」について書く。英語は「私は・愛している・あなたを」でSVOだ。一方日本語は「私は・あなたを・愛している」で一応SOVという語順になる(ように見える)。そして「世界の言語はSVOがスタンダード。日本語が特殊なのだ!」などという、まるで「日本語もSVOにすべきだ!」「だから日本語は原始的なのだー!」などと言っているような言説を時々耳にする。どうして日本人自身が日本語を卑下するのか。不愉快極まりないことである。しかもこれは二重の意味で「」である......





まずは例文を見て欲しい。お馴染みの「書き換え」例文だ。
  • If it were not for water, we would all die.
    Were it not for water, we would all die.
ifが省略され倒置が起こった云々...」と説明されているがこれは「嘘」。全く別の表現を、「ほぼ同じ意味だから...」とイコールで結んでしまっただけだ。教える手順としてはOKなのだが、これだと「ifを省略したら倒置にできる!」との誤解を子供たちに与えてしまう。実際英作文で早速これを乱用(?)して「×」をもらった生徒も過去にいた。故にあくまで「これは嘘なんだけどね...」と断りを入れ、「ある表現だけにしか使ってはいけないんだよ...」と付記すべきであろう。使用可能な文はHad+pp ~.などの「仮定法過去完了」や、Were I you, ~などの「be動詞の仮定法過去」またShould he come ~「もし万が一...なら」など2~3例にとどまる。If I knew her address, ~「もし~を知っていれば...」をDid I know her address, ~とやってはならない(昔はOKだった...という説もあるが...)。

では「この前半部分の倒置は何なのか?」という問題になる。ある大手予備校のサイトを参照すると、「前半部分は、もとは疑問文だった!」という謎解きがなされていた......





「仮定法未来」という信じられないネーミング

If S should V(もし万が一〜したら...)」や「If S were to V(もし仮に〜したら...)」など、「未来の可能性が低い仮定」をこう呼ぶ方がいる。仮定法が何もわかっていない。恥ずかしいことだ。「仮定法未来」など存在しない。するはずもない。無論ラテン語にもギリシャ語にも、そんなものはない......





ラテン語・ギリシャ語を独学で学び始めて15年になる。そこで気づいたことは、如何いかに英文法に嘘が多いか...ということだ。そこでこの嘘を一つ一つ暴いてゆくことにした。今回は「仮定法の嘘」について書いてみた。受験生諸君もしっかり「仮定法」を理解してもらいたい。

因みに単に「ギリシャ語」といえば、それは「古代(古典)ギリシャ語」を指す。現代ギリシャ語は「現代...」とつけなくてはならない......






難解な英単語で苦しむ受験生諸君のために、ラテン語・ギリシャ語から効率的に、面白おかしく暗記するために単語集を1冊作りました。茗渓予備校のHPから参照できますので是非ご利用ください。覚えにくい単語があったら「索引」を引き「見出し語」を参照する...という方法がいいかと思います。

さてこの本の原型が作られたのはかれこれ12年も前のことです。当時指導していた生徒さんのご父兄から「英検1級を取らせて欲しい...」との申し出を受けました。彼女はバリバリの帰国子女でしたから読解・リスニングは「お手の物」。難儀したのは悪名高き「英検1級単語」です。当時彼女は高1になっていましたから「丸暗記」させている時間はありません......





どうして英単語(爾後、「単語」)が覚えられないのか? 基本は「毎日やる」ことだ。当たり前の話である。まずは記憶のメカニズムから説明しよう。記憶にはある一定の「閾値(いきち・しきいち)」というものが存在する。「このラインを越えてしまえば永遠に忘れない」という一線のことだ。たとえば父親の顔を忘れる人はいないだろう。朝起きて「あんた誰?」などとおやじに言ったらぶん殴られる。どうして忘れないか? 毎日会っているからだ。だから単身赴任しているサラリーマンがたまに自宅にもどると幼い子は、「あのおじちゃん誰?」と聞くのである。毎日15分でいい。一日も休まずやることだ......