中1英語の最後から「
不規則動詞」なるものが登場する。
wash--washed--washed
と語尾に
-ed
をつけるものを「規則動詞」。それに対して
begin--began--begun
などと変化するものを「不規則動詞」と呼んでいる。しかしこれは厳密には「間違い」だ。これらはちゃんとパターンが存在するからだ。そのパターンごとに
cut--cut--cut
(A--A--A型)、
come--came--come(A--B--A型)
、
begin--began--begun
(A--B--C型)、
buy--bought--bought
(A--B--B型)...などとまとめられている。そしてそのパターンさえ暗記すれば、その場で思い出すことができる。これは立派な「規則動詞」ではないか。特に前者を「
弱変化動詞」、後者を「
強変化動詞」と呼ぶ。
では英語に不規則動詞は存在しないのか? 実は2つだけ存在する。それが「be動詞」と「
go
」だ。be動詞の
am / are / is / was / were
はどう見ても「赤の他人」である。これはそれぞれ全く別の古英語の単語に起源を持つからだ。ただbe動詞の追究は後日を期す。ラテン語でもギリシャ語でも、be動詞はかなり特殊な変化をするからだ。話をgo-wentに絞る。昔は
go
には
goed
という過去形があった(後述)。
went
には
wend
という原形があった(今も辞書に載る)。しかし
go
は子を、
went
は親を亡くした。そこで
go
と
went
の間で目出度く「養子縁組」が成立! 血がつながっていないから顔は全く違うわけだ。このように全く縁もゆかりもない単語を引っ張ってくる手法を
suppletion
[サプリーション]「補充法」と呼ぶ。これは動詞に限った話ではない。
good--better--best
や
bad / ill--worse--worst
などがお馴染みだ
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2021年度第3回の
英検で中3生が一人、2022年度第2回(前回)の英検で高2生が二人、英検準1級に合格しました。英検2級にも中1生他多数が合格しました。おめでとうございます。
The teacher taught us that the earth is round.
「先生は、地球が丸いと教えてくれた」
これを
the earth was round
とやってはいけない...というのが「
時制の一致の例外」だ。だが何故「過去形」ではいけないのか? 改めて聞かれると答えに詰まる。「過去」も「地球」は丸かった。「現在」でも「丸い」。そして「未来」でも「丸いであろう」ということから、「真ん中を取って現在形か!」などと筆者は高校生のころ勝手に考えていた
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文法・読解に偏重しがちだった旧来の英語教育を改めて、より実用的な英語コミュニケーション能力を育成するべく「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能をバランス良く身につけようとする方針が文科省の学習指導要領において押し出されるようになって既に久しいですが、近年ではそれが大学入試制度改革や小学校の英語授業などにおいても少しずつ具体的に反映されるようになってきています
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the rich
で「お金持ち...」という意味になることは、受験生諸君はご存じだろう。これを「
the rich (people)
の省略である」と教える先生もいる。無論
これは間違いだ。
the rich people
では「
そのお金持ちの人々」となってしまう。
the rich=rich people
で「(一般に)お金持ちの人々というものは...」という意味だ。確かに
the
は「冠詞」である。冠詞は分類学上は「形容詞」なのだから、後ろに「名詞」を補いたくなる心理はわからないでもない。しかしちょっと考えれば「あれ?」と中学生でも疑問に思うはずだ。いろいろ検索してみたが、「何故そうなるのか?」を説明しているものは皆無だ。故にここからは「鈴木説」として話半分に聞き流してもらいたい。ただしこの説だと
that
と
the
のすべての謎が解けるのだ。まず念のため確認しておくと、英語では
the
を定冠詞、
a/an
を不定冠詞と呼んでいる
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今月号は「
文型の嘘」について書く。英語は「
私は・愛している・あなたを
」でSVOだ。一方日本語は「
私は・あなたを・愛している
」で一応SOVという
語順になる(ように見える)。そして「世界の言語はSVOがスタンダード。日本語が特殊なのだ!」などという、まるで「日本語もSVOにすべきだ!」「だから日本語は原始的なのだー!」などと言っているような言説を時々耳にする。どうして日本人自身が日本語を卑下するのか。不愉快極まりないことである。しかもこれは二重の意味で「
嘘」である
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まずは例文を見て欲しい。お馴染みの「書き換え」例文だ。
If it were not for water, we would all die.
=Were it not for water, we would all die.
「
if
が省略され倒置が起こった云々...」と説明されているがこれは「嘘」。全く別の表現を、「ほぼ同じ意味だから...」とイコールで結んでしまっただけだ。教える手順としてはOKなのだが、これだと「
if
を省略したら倒置にできる!」との誤解を子供たちに与えてしまう。実際英作文で早速これを乱用(?)して「×」をもらった生徒も過去にいた。故にあくまで「これは嘘なんだけどね...」と断りを入れ、「ある表現だけにしか使ってはいけないんだよ...」と付記すべきであろう。使用可能な文は
Had+pp ~
.などの「仮定法過去完了」や、
Were I you, ~
などの「be動詞の仮定法過去」また
Should he come ~
「もし万が一...なら」など2~3例にとどまる。
If I knew her address, ~
「もし~を知っていれば...」を
Did I know her address, ~
とやってはならない(昔はOKだった...という説もあるが...)。
では「この前半部分の倒置は何なのか?」という問題になる。ある大手予備校のサイトを参照すると、「前半部分は、もとは疑問文だった!」という謎解きがなされていた
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「仮定法未来」という信じられないネーミング
「
If S should V
(もし万が一〜したら...)」や「
If S were to V
(もし仮に〜したら...)」など、「未来の可能性が低い仮定」をこう呼ぶ方がいる。仮定法が何もわかっていない。恥ずかしいことだ。
「仮定法未来」など存在しない。するはずもない。無論ラテン語にもギリシャ語にも、そんなものはない
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ラテン語・ギリシャ語を独学で学び始めて15年になる。そこで気づいたことは、
如何に英文法に嘘が多いか...ということだ。そこでこの嘘を一つ一つ暴いてゆくことにした。今回は「
仮定法の嘘」について書いてみた。受験生諸君もしっかり「仮定法」を理解してもらいたい。
因みに単に「ギリシャ語」といえば、それは「古代(古典)ギリシャ語」を指す。現代ギリシャ語は「現代...」とつけなくてはならない
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難解な英単語で苦しむ受験生諸君のために、ラテン語・ギリシャ語から効率的に、面白おかしく暗記するために単語集を1冊作りました。
茗渓予備校のHPから参照できますので是非ご利用ください。覚えにくい単語があったら「索引」を引き「見出し語」を参照する...という方法がいいかと思います。
さてこの本の原型が作られたのはかれこれ12年も前のことです。当時指導していた生徒さんのご父兄から「
英検1級を取らせて欲しい...」との申し出を受けました。彼女は
バリバリの帰国子女でしたから読解・リスニングは「お手の物」。難儀したのは悪名高き「英検1級単語」です。当時彼女は高1になっていましたから「丸暗記」させている時間はありません
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