〜ing
が存在する。「現在分詞(〜している)」と「動名詞(〜すること)」だ。確かに紛らわしい。そしてこの2つは「全く別物」と説明される。本当にそうなのか? 以下の文を見て欲しい......
英語には2種類の
〜ing
が存在する。「現在分詞(〜している)」と「動名詞(〜すること)」だ。確かに紛らわしい。そしてこの2つは「全く別物」と説明される。本当にそうなのか? 以下の文を見て欲しい......Wake up, Tom
.「起きなさい! トム!」という文がある。このTom
は「何格」か? 英語には「格変化 (以下『曲用』)」というものがある。I--my--me--mine
というアレである。英語はその曲用をほぼすべて捨て去ってきた「のっぺらぼう言語」である。従ってはっきりと曲用が残っているのはこの「人称代名詞」だけなのであるが、 普通の名詞にも痕跡らしきものは残っている。Tom
で言えばTom--Tom's--Tom--Tom's
となる。とすれば上の文のTom
は「主格」か「目的格」のはずであるが、このいずれでもないことは中1生にもわかる。これは「呼格:vocativus[ウォカーティーウス]
」という曲用なのだ。文字通り「人に呼び掛けるときに使う格」である。「呼格」は徐々に「主格」に吸収されてゆき、今では呼格を持たない「印欧(インド・ヨーロッパ)語族」の言語も多い。文から独立して存在するが故に、文中での役割を明示するための曲用をさせる必要がないからだ。ただこのTom
を「主格」と教えるには流石に無理がある。「昔は『呼格』ってのがあってね...」と説明くらいはできるように、英語の先生ならしておきたい......whether
で書き換えができる「〜かどうか
」の意のif節は名詞節なので、形式主語itで受けることができるのは当然ですが...もし〜
」の意の副詞節のif節を受けているように見える形式主語itや形式目的語itを用いた文もたまに見受けられます:be surprised at ~
やbe interested in ~
というものだ。実はこれらは「受動態」ではないし、at/in
はby
の代わりでもない。ラテン語・ギリシャ語で言うところの「中動態(中間態)」と呼ばれるものだ。surprise
「驚かせる」で説明しよう......wash--washed--washed
と語尾に-ed
をつけるものを「規則動詞」。それに対してbegin--began--begun
などと変化するものを「不規則動詞」と呼んでいる。しかしこれは厳密には「間違い」だ。これらはちゃんとパターンが存在するからだ。そのパターンごとにcut--cut--cut
(A--A--A型)、come--came--come(A--B--A型)
、begin--began--begun
(A--B--C型)、buy--bought--bought
(A--B--B型)...などとまとめられている。そしてそのパターンさえ暗記すれば、その場で思い出すことができる。これは立派な「規則動詞」ではないか。特に前者を「弱変化動詞」、後者を「強変化動詞」と呼ぶ。go
」だ。be動詞のam / are / is / was / were
はどう見ても「赤の他人」である。これはそれぞれ全く別の古英語の単語に起源を持つからだ。ただbe動詞の追究は後日を期す。ラテン語でもギリシャ語でも、be動詞はかなり特殊な変化をするからだ。話をgo-wentに絞る。昔はgo
にはgoed
という過去形があった(後述)。went
にはwend
という原形があった(今も辞書に載る)。しかしgo
は子を、went
は親を亡くした。そこでgo
とwent
の間で目出度く「養子縁組」が成立! 血がつながっていないから顔は全く違うわけだ。このように全く縁もゆかりもない単語を引っ張ってくる手法をsuppletion
[サプリーション]「補充法」と呼ぶ。これは動詞に限った話ではない。good--better--best
やbad / ill--worse--worst
などがお馴染みだ......The teacher taught us that the earth is round.
the earth was round
とやってはいけない...というのが「時制の一致の例外」だ。だが何故「過去形」ではいけないのか? 改めて聞かれると答えに詰まる。「過去」も「地球」は丸かった。「現在」でも「丸い」。そして「未来」でも「丸いであろう」ということから、「真ん中を取って現在形か!」などと筆者は高校生のころ勝手に考えていた......the rich
で「お金持ち...」という意味になることは、受験生諸君はご存じだろう。これを「the rich (people)
の省略である」と教える先生もいる。無論これは間違いだ。the rich people
では「そのお金持ちの人々」となってしまう。the rich=rich people
で「(一般に)お金持ちの人々というものは...」という意味だ。確かにthe
は「冠詞」である。冠詞は分類学上は「形容詞」なのだから、後ろに「名詞」を補いたくなる心理はわからないでもない。しかしちょっと考えれば「あれ?」と中学生でも疑問に思うはずだ。いろいろ検索してみたが、「何故そうなるのか?」を説明しているものは皆無だ。故にここからは「鈴木説」として話半分に聞き流してもらいたい。ただしこの説だとthat
とthe
のすべての謎が解けるのだ。まず念のため確認しておくと、英語ではthe
を定冠詞、a/an
を不定冠詞と呼んでいる......