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 — 茗渓予備校通信 2022年 12月号

希望の職業から決める 逆引き大学学部選び 〜薬学〜

シリーズでお伝えしています「希望の職業から決める 逆引き大学学部選び」。前回(11月号:医療技術・看護)に引き続き、今回は薬学にスポットを当てます。

前回の医療技術・看護と同様、薬学は医療に関わる仕事ですが、医師と同じく人の生命に 関わる仕事であるので、責任の重い職業です。

図表

③薬学を学ぶ

薬剤師は人の命に関わる仕事です。どんな職場に勤めようと、その点に変わりはありません。自身の調剤や服薬指導が直接患者さんの命や健康に左右します。責任の重い仕事だからこそ、その分大きなやりがいを感じられるはずです。

病院に勤務する場合は入院患者と長期的に接することができます。服薬指導を通して入院患者と信頼関係を築いていくことや、入院患者が回復していく様を近くで見られることは、ほかの職場にないやりがいです。また昨今は「チーム医療」の名のもとに、ほかの職種と連携して働くことが薬剤師にも求められています。多くの人と協力しながら患者さんに向き合うことも、人によっては取り組みがいのある仕事と言えるでしょう。

ドラッグストアに勤務する場合、市販薬に限っては、薬剤師の判断で販売することができます。自身の知識を最大限に生かしつつ、お客様の困り事や症状に合わせて市販薬を選びます。これは薬局勤務ならではの面白さです。

なお、医療のあり方や薬品は日々更新されていくもので、覚えることも多くあります。そのため薬剤師になると、社内・外を問わずさまざまな勉強会・研修に参加することになります。勉強が好きな人、好奇心が旺盛な人にとって、こうした勉強の機会に恵まれている点も仕事の面白さと言えるかもしれません。

薬学部の現状

数と需要 文部科学省は2025年度以降、原則として大学の6年制薬学部の新設や定員増を認めない方針を固めました。厚生労働省によると、薬剤師の総数は2045年には、病院や薬局で必要な人数(33万〜40万人)を10万人程度、上回るとみられ、薬剤師が過剰になると、就職難や待遇の悪化などを招きかねない状況になります。

一方で、薬剤師は都市部に偏在しており、特に地方の病院では不足しています。厚労省の調査では、病院の薬剤師充足率は、愛知県や兵庫県の98%に対し、群馬県や青森県は5〜6割台だったとされています。このため文科省は、25年度以降も例外として、薬剤師不足の地域では新設や増員を認める方針です。

文科省は、定員充足率や国家試験合格率が低い私大に改善を促してきました。今後は定員割れの大学に対し、助成金の減額や不交付も検討するとされています。

2022年薬剤師国家試験

第107回薬剤師国家試験の合格発表が3月24日にありました。受験者数は14,124人(このうち新卒8,665人)。合格者は9,607人(同7,386人)で、合格率は68.0%(同85.2%)でした。

図表

参考

  1. 薬学部急増、2025年度以降は新設認めず...将来的な「薬剤師余り」に対応(読売新聞オンライン、yomiuri.co.jp)
  2. 国試2022 | 令和4年の薬剤師国家試験 9,607名合格、各校の合格率は?(ヤクメド、yakumed.jp)