K I R I
 — 茗渓予備校通信 2022年 11月号

希望の職業から決める 逆引き大学学部選び 〜医療技術・看護〜

シリーズでお伝えしています「希望の職業から決める 逆引き大学学部選び」。前回(9月号:公務員)に引き続き、今回は医療技術・看護にスポットを当てます。

医療に関わる仕事ですが、各専門分野から様々な形で医療をサポートする医療技術、医師とは違う側面から患者のサポートにあたる看護、また薬物を専門とし医療をサポートする薬学(12月号で紹介予定)という分野があります。医師と同じく人の生命に関わる仕事であるの で責任の重い職業ですが、その分やりがいもあると言えます。

図表

①医療技術を学ぶ

医療技術が学べる学部は多く、保健学部、衛生学部、医療技術学部、医療衛生学部、保健医療学部、看護福祉学部、医学部、鍼灸学部などがあります。また、学科も臨床検査技術学科や衛生技術学科をはじめとして多様に設けられています。

医療技術系は、医療機器を用いた臨床検査技術の研究開発を中心に、人間の健康を追究していく分野で、医学や看護学との連携は欠かせません。

医療技術系には、検査系やリハビリテーション系、鍼灸(しんきゅう)などがあります。

検査系のなかでも、特に重要なのが臨床検査です。臨床検査には、生化学・血液学・免疫学的検査(細胞や血液を調べ、病気の種類や患者の抵抗力を把握する)、微生物学的検査(血液や尿のなかの細菌やウイルスを調べる)、病理学的検査(組織中のがん細胞などを調べる)などがあります。こうした臨床検査のほかに、CT(断層撮影)やMRI(磁気共鳴映像法)など、最先端の科学の成果を駆使した検査方法も学びます。放射線を用いたがんの治療法の研究も行われています。

リハビリテーション系では、理学療法(屈伸などによる機能回復方法)、作業療法(社会復帰のための方法)、感覚機能療法(視聴覚・言語機能の回復方法)が研究されています。

また、科学的な解明はまだ十分ではありませんが、東洋医学の経験に基づいた鍼(はり)や灸(きゅう)の効用は、現代医学にも積極的に取り入れられています。

②看護学を学ぶ

看護学は、人間のトータルケアについて科学的に研究していく学問分野です。看護学におけるケアとは、人から苦痛・苦悩を取り除き、より健康な状態を継続させるための手助けをすることをいいます。実際にケアを必要とする人々のお役に立たなければ意味を持たないので、人文科学と自然科学の研究を総動員して、理論と実践の両面から裏付けられた、人間をケアするための知識・技術を習得していくのです。

看護学の研究分野は、実際の看護法などを研究する「基礎看護学」や、患者の精神的なケアの研究をする「精神看護学」のほか、成人・小児・母性・老人のそれぞれを対象とした看護学に分けられます。また、地域社会での健康・保健問題と、援助の具体的方法を研究する「地域看護学」や「在宅看護学」、国際的な保健・医療機関での看護について考える「国際看護管理学」などは、近年注目されている分野です。

しかし、実際に看護学を学ぶに当たっては、これだけでは不十分で、患者の精神状態や生活環境にまで目を向けていかなければなりません。そうしたうえで、苦しんでいる患者を前にした現実と、常に向き合わなければならない実践科学的な学問なのです。

看護師国家試験に関して

看護師になるには、看護師国家試験に合格する必要があります。受験資格は、大学や3年制短大の看護系学科、または病院や大学の医学部に付属する3年制看護学校などを卒業すると得られます。なお、大学や4年制専門学校の中には、看護師と保健師・助産師のカリキュラムを統合して学べるところもあり、卒業時に保健師・助産師の国家試験受験資格も得ることができます。ただし、保健師・助産師になるためには、看護師国家試験に合格している必要があります。

近年の看護ニーズの高まりに応じて、看護師を養成する大学・学部は増えてきています。

2021年の国家試験では、受験者6万6124人、合格者5万9769人、合格率は90.4%でした。

参考

  1. 医療技術|マナビジョン|Benesseの大学・短期大学・専門学校の受験、進学情報
  2. 看 護 学|マナビジョン|Benesseの大学・短期大学・専門学校の受験、進学情報