K I R I
 — 2022年 6月号

夏に向けて成績を上げるためのチェックポイント②

今回は前回に説明した成績を上昇させるために必要と考えられる2つのPlanとPractice)に続いて、今回は2つの(質と量)について説明させて頂きたいと思います。


学習を実践(Practice)する上では2つのQが大切

成績を上昇させる学習をする際には計画(Plan)と実践(Practice)が重要となってくるのは前回述べました。実際に学習を実践する時には、少々面倒に感じるかもしれませんが、さらに2つのを意識することも大切となってきます。2つのQとはQuality(質)とQuantity(量)のことを指していますが、これら2つのQのバランスが良くないと成績の上昇はなかなか起こりにくいものとなります。では具体的に2つのQについてお話させて頂きます。


学習のQuality(質)を上げる

学習計画を立て、それを実際に行動に移すところまではなんとかできたとしましょう。帰宅後の1時間を英語の学習に割き、それを定期試験の2週間前から毎日欠かさず行ったというものです。ところが試験では思ったほど点数が伸びません。なぜでしょうか。それは、学習の質を上げることを意識せずに、時間だけを費やすという、少し意地悪な言い方をすれば「効率の悪い学習」をしていたからかもしれません。以下に学習の質を上げるためのいくつかのポイントを記します。


Ⓐ「教科書を読む」から「教科書で得た知識を試す」に変える。

教科書や参考書を読むこと(情報のInput作業)は言うまでもなく非常に重要です。しかし、ただ教科書に書かれている情報を読んでいても試験で点数アップに即座につながるわけではありません。新しい情報を忘れないで長期間記憶していられるようにするには十分な回数の復習(この場合は複数回の読み直しや、確認テストとその確認テストで出来なかった部分の解き直し作業を含む)が必要だからです。復習の重要性に関しては、先月のKIRIでも出てきたInputとOutputという表現も使った、シンプルかつ明確な説明をアメリカで高校生や大学生の学習法に関する書籍を出版しているアン・クロスマンが彼女の『Study Smart, Study Less』 (Crossman, Ann 2011, pp.9-10)の中でしています。そこで使われた図は以下のようなものです。参考にしてください。(日本語訳は私が勝手につけたものです。)

Input + Output = Short-Term Memory
(情報の入力 + 情報の出力 = 短期記憶)

Input + Output + Review = Long-Term Memory
(情報の入力 + 情報の出力 + 復習 = 長期記憶)

スマートフォンやタブレットが日本以上に普及しているはずのアメリカで出されたこの学習法に関する書籍の中で、彼女はいまでも手書きの暗記ノート作成を勧めていることにも注目です。


Ⓑ「目で暗記(読んで暗記)」から「手・目・耳で暗記(書いて、読んで、聞いて暗記)」に変える。

何年か前に指導した、日本史は非常に得意だが英語では非常に苦労をしていたある生徒の話です。彼は英単語や基本英文を何度も何度もノートに書いて練習をしているのになかなか覚えられず、いつも学校の定期試験で苦労をしていました。その彼が日本史を勉強しているのを目にしたときに謎が解けたような気がしました。彼は日本史の教科書を小声でしたが声に出して読んでいたのです。もしやと思い「英語の(学習の)時も同じように声は出しているの?」と彼に尋ねると、「よく考えたら完全な黙読でした。」との答え! すぐに、今後は英単語や英文の暗記の際には出来る限り意識して(頭の中でもよいので)音声化するように助言をしました。その結果、劇的にと言えばうそになりますが、少しずつですが成果が表れるようになりました。科目にもよりますが、学習、特に暗記学習をする際には視覚、聴覚等はフルに活用したほうがよいことを、今はもう大学を卒業したその生徒から改めて教えられた次第です。


Ⓒ効果的な学習のタイミングを考慮する。

短期記憶は、睡眠中に長期記憶に変えられると言われています。その点からすると暗記学習の軽い復習を睡眠前に行うというのは理にかなっていると言えます。暗記しても暗記しても忘れてしまうという悩みを抱えている方たちは、古文単語、英単語や他の選択科目の用語の見直し時間を睡眠前に短時間でもよいので設定してみてはいかがでしょうか。記憶を長期化させるためのもう一つ大切なポイントとして挙げられるのは、24時間以内と1週間以内に復習をするということです。「一度学習したらそれっきり」から「少なくとも1週間以内(できれば翌日)に復習をする」を心がけましょう。Ⓐのところでも出てきましたが、「復習」によって記憶は「長期記憶」化していくのです。


Ⓓ効率よく学習するための工夫をする。

蛍光ペン 学習を効率よくするための工夫の中でも基本的なものを記しておきます。
  • 蛍光色マーカーで線を引くのは先生が「大事な部分」と言ったところ以外に、「テストをしたときに間違えそうなところ」を自分なりに判断した部分にも引く。
  • 教科書やワークブックの空欄には直接書き込まず、ノートに書くか、再度確認テストができるように問題のところをコピーして、そのコピーした紙のほうに書き込むようにする。
  • 勉強中はスマホはカバンや引き出しに入れておき、集中して学習する時間をタイマーなどで40分や60分などに設定し、その後の何分間(5分から長くても10分をタイマーで設定)かをスマホ用の時間に充てるなどのルールを決めて習慣化する。


学習のQuantity(量)を増やす

いくら上手な勉強の仕方をしても、絶対的な学習時間を確保しなければ、その効果は表れにくいものです。中学生や高1、高2の皆さんは部活動などもあり多くの時間を学習だけに費やすことはできないかもしれません。必要な学習時間は学年や学校の課題の量などによっても幅がありますが、最終的に大学受験で第一志望に合格を果たした先輩たちは、中学生の頃でも少なくとも毎日1時間程度は学習に時間を割いています。高2の後半または高3以降になると難関大合格者は最低でも毎日4、5時間は学習に時間を割くようになります。中学生の方たちは少し驚かれるかもしれませんが、中には毎日7時間、8時間、土日にいたっては10時間以上勉強をしたという先輩たちもいます。今は長く見える学習時間も下の学年のうちから少しずつ習慣として身につけてしまえば、案外無理せずに増やしていけるものです。その「少しずつ」ができないという生徒のかたはぜひ当予備校の自習室を利用してみてください。まずは授業の日に少し早めに来て30分でも1時間でも勉強をしてみて、それに慣れたら別の日に1時間でもよいので自習室に立ち寄って勉強をしてから帰宅をする、という具合に学習時間を増やすというのはいかがでしょうか。


まずは最初の一歩を

2か月に渡って成績を上げるために重要と思われることに関して述べてきました。色々話した末に元も子もない感じもしますが、勉強はまずは少しずつでもよいので実践することが大切です。実際に勉強をする中で、自分に合った方法が見つかっていくことが多いからです。夏期講習前に一つでも苦手な科目や項目を減らすお役に立てたなら幸いです。