K I R I
2021年 4月号

シニア・ズーム塾の試み

今年の入試も終わりました。入試制度の度重なる変更やコロナ禍で受験勉強もままならぬまま受験本番を迎えました。そんななかで、第一志望校に見事合格した人たちには拍手を、うまくいかなかった人たちには捲土重来のエールを送ります。

茗渓予備校の今年の大学合格者は、国立大・早慶上智・医歯薬獣医学科は延べ61名、GMARCH・理科大などは延べ85名でした(3月29日現在)。今年も、小さな教室から大きな結果を出したものと自負しております。


2025年からの共通テスト

3月24日、大学入試センターが2025年からの大学入学共通テストの出題教科・科目を発表した。22年度から高校で必修化される「情報」「歴史総合」「地理総合」「公共」が新設され、現行の6教科30科目から7教科21科目に再編成される。「受験者数の減少に対応して問題作成費用等を削減することも念頭に必要なスリム化を行うこと」を旨として、上記のような削減を行うとしている。また、今後「大学入試のあり方に関する検討会議」(文科省においてズーム会議形式で進行中、現在24回目)において、「大学入学共通テストと各大学の個別入試との関係、記述式問題の導入、英語4技能の評価等について議論されているところであり、今後、当該会議の検討結果を踏まえ、必要な対応を行うものである」としている。

22年度から導入される新学習要領の下で高校3年間の授業を受ける受験生(現在の中2生)は、今回の再編成や出題の狙いをある程度イメージしておこう。同時に公表されたサンプル問題に目を通しておくことを勧めておきたい。

公表されたのは新設される『地理総合』『歴史総合』『公共』『情報』の4種で、それぞれ問題のほかに、正解表とねらいがついている。ここでは簡単に『歴史総合』(近現代史)の第1問だけに触れておこう。ただし、これは専門家によって作問されているが、実際の問題セットをイメージしたものではないという。東西冷戦を主題とした授業での探究の過程を設問としている。図版やグラフ、文献などの資料を基に、世界の中の日本を相互的な視点からとらえ、冷戦の意味や特徴を多面的・多角的に考察することを求めている。現場の高校教師からは長文や資料が多く、大変だという声も多いが、こうした情報処理能力も実力のうちという南風原先生(次期テスト学会会長)の見解もある。私は、最近、ドイツとフランスが共同で編集した高校生向けの現代史(第2次大戦後)の歴史教科書を読む機会があったが、かなり抽象度の高い、深く考えさせる設問が数多くみられ感心させられた。日本の一歩先を行っている。

文科省によれば、3月30日に2022年度から使われる高校教科書296点の検定が終了したという。これで、新学習指導要領・新教科書が出そろい、いよいよ2025年の共通テストへと向かうことになる。


シニア・ズーム塾の試み

最近はめっきり家にいることが多いが、2つの集まりだけは遠隔通信ツールのズームを使って外の世界に触れるようにしている。一つは、「大江戸探見の会」といって現在の東京の中に大江戸の遺構を探り、じかに見て聞いて学ぶシニア中心の歩く会のようなものだ。しかし、コロナ禍ではそれもかなわず、ズームで代用している。先月は、太田道灌の末裔の第18代当主太田資暁氏(江戸城天守を再建する会会長)に、江戸城にまつわる話をあれこれうかがった。江戸城内にある富士見櫓は道灌の建造になるという。再建するのは、江戸幕府3代将軍家光の時代の天守閣である。明暦の大火で焼失してから江戸城には天守閣はない。それを木造で再建しようというわけだが、宮内庁との折衝や経費のこともありなかなか難しいようだ。

もう一つは、シニア・ズーム塾という集まりで、現在20名が会員となっている。この会を主宰するのはY氏で朝日新聞の『ASAHIパソコン』を創刊し、その後明治大学やサイバー大学の教授を務めてきた。ミーティングの進行中は、サイバー大学の教え子であるM氏が技術的なサポートを行っている。会議の進行には欠かせない。 この会には現在二つの柱があり、一つは海外から日本に留学した学生たちの日本の印象などを聞いたり、卒業したあと勤めている日本や祖国の企業の話などを聞いたりしている。新鮮で刺激的な話が多く、シニアにとって若返る思いだ。先日も、ミャンマーが今の状態になる直前に6人の若者たちと話し合う機会があった。新聞やニュースだけでは得られない肌感覚の話が聞けた。また、ベトナム本国の日系企業に勤めているベトナムの若者とシンガポールに転勤になったその友達とを結んで、彼らの日本観を聞くこともできた。たしかに、アフリカやアジア各地から日本に留学しているのは、それぞれの国のエリートたち(東大、一橋大、東京工業大などに留学)だが、これから成長していく新興国にとって貴重な人材となることは確かだ。

もう一つは、海外の主要な問題をレクチャーしてもらう会である。現在は、アメリカのコロラド州で長年ジャーナリストとして活躍されているM女史に、今回の大統領選の実態やQアノンの話などを聞いた。会のメンバーの中には元新聞記者や大学教授もいて、かなり専門的な議論になることもある。

オンライン会議は、本来遠くに居住する海外の人々と必要に応じてコミュニケーションを図るものであり、やはりリアルに顔を突き合せたつきあいは欠かせない。「いま、ここ」こそが人間の本来ある姿であると実感する。