| 学校種で合格大学グループの傾向がクッキリ
今回は大学通信のご協力を得て、週刊誌でやる大学合格ランキングとは少し違った視点から昨今の大学合格状況を眺めてみよう。
付表として「都内TOP100校(国公立・早慶上智・MARCH+理科大)今春合格者数」を2枚付けてあるので、先ずそれを見ていただきたい。中高一貫校、私立高校、都立高校を一緒にして大学グループごとに合格者数をランキングにしたものだ(上位100校)。これによって、絶対数ではなくて各校が東京の高校の中でどの大学グループに相対的に強いかが見えてくる。また逆に、各大学グループはどういった学校種からの合格者が相対的に多いのかがつかめる。早速後者の視点から分析してみよう。
私立高校(高校のみの単独校)の比率が極めて低い
まず全体的なところから話を始めよう。各大学グループの上位100校のうち中高一貫校(男子校・女子校・共学校)、私立高校、都立高校の占める%を出してみた。
| 私立・国立中高一貫校合計 |
62% |
68% |
59% |
| 男子校 |
21% |
23% |
21% |
| 女子校 |
29% |
32% |
26% |
| 共学校 |
12% |
13% |
12% |
| 私立高校 |
3% |
4% |
4% |
| 都立高校 |
35% |
28% |
37% |
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一目で気がつくことは、私立高校(高校のみの単独校)の%が低いことだ。同じ公立中学校の卒業生を受け入れていながら都立高校とこれほどの差があるのはどうしてなのか。公立中学生の場合7割以上が都立第一志望で、合格した上位者は都立に入学してしまい、私立には不合格者が入学してくるというのが主たる原因と考えられる。また中学を持たない私立高校の場合は付属校の人気が高く、成績上位者ほどそうした高校に進んでしまうという背景も大きいと思われる。
因みにランキングに挙がってくる高校名は、国際基督教大学、錦城、國学院、明治学院の4校のみ。安田教育研究所ではいろいろな分析をしているが、大学合格関連ではこの4校以外に校名が挙がることがあるのは東京農大第一くらいで、極めて限られている。
付属校ではない高校の中には、だいぶ前から「特進コース」等を設置して大学受験に特化した指導をしている学校が数多くあるが、表のような現実を見るとまだまだ成果が出るまでには至っていない。極力早い時期に実績を出していかないと、下のレベルでも都立へという志向が広がっていく可能性が高い。
意外に「国公立」と「MARCH+理科大」が近い様相
「国公立」と「早慶上智」が似た様相を示すと考えていたが、むしろ現実には「国公立」と「MARCH+理科大」の方が似た%を示した。これはどういうことであろうか。
「国公立」といっても最難関大学から中堅レベルまで幅広いわけで、東大に代表される最難関大学だけのランキングとは自ずから様相が異なる。都立高校が国公立に占める%が高いのは、経済的な事情から国公立でなければ大学進学が不可能という生徒が相対的に多く、そうした生徒が頑張っていることが背景として挙げられるだろう。一方「MARCH+理科大」は「早慶上智」に比べれば入りやすいので、都立高校の3年間(+浪人)でも届く距離にあるということがいえる。
「早慶上智」は中高一貫女子校が強い
それに対し、「早慶上智」は3大学ともすべて難関である。「MARCH+理科大」に比べれば圧倒的に定員も少ない。そのうえ理系の定員比率が低いこともあって、中高一貫女子校の比率が高くなっている。しかも「国公立」では上位50位までに入っている学校は11校なのに対し、「早慶上智」では1.5倍の16校にも達している。因みに「MARCH+理科大」では半分の8校に過ぎないから、いかに「早慶上智」では中高一貫女子校が強いかがわかる。
ここまでは大学グループという括りから見てきた。ここからは高校側の視点に立って見てみよう。
学校によって描くカーブが違う
高校ごとに、この3つの大学グループでの順位を折れ線グラフにしてみると(ここではグラフとしては表示しないが、国公立→早慶上智→MARCH+理科大の順に目盛りをつける)、次のパターンに分けられる。
@ 右下がりの直線
A 右肩上がりの直線
B V字型の線
C 逆V字型(山型)の線
D その他、一直線など
次に、その例を10校ずつ挙げてみる。
@ のパターン
城北、世田谷学園、成城、鴎友学園女子、吉祥女子、共立女子、富士見、跡見学園、國学院久我山、日本大学第二
どうだろう。男子校・女子校・共学校の違いにかかわらずなんとなく似ている感じがしないだろうか。最近伸びている元気のいい学校という共通項があるではないか。
私立高校では國学院のみ。都立高校では小石川、新宿、富士の3校のみ。
A のパターン
開成、麻布、桐朋、桜蔭、十文字、東京学芸大学附属、筑波大学附属、穎明館、お茶の水女子大学附属
こちらは逆に、十文字、穎明館を除けば超難関校および国立大学の附属校ばかりだ。因みに私立高校、都立高校にはこのパターンの学校はない。つまりこのパターンは9校のみ。
B のパターン
本郷、高輪、足立学園、帝京大学、日本大学第三
私立高校では錦城がこのパターンになる。このパターンの最大の特徴は、都立高校の9割がこのパターンに入るということだ。都立高校にはAのパターンはなかったが、実は次のCのパターンもない。つまり都立高校は@で挙げた3校を除けばことごとくこのパターンなのである。個々の学校の違いを越えてここまで都立高校としての共通性があるとは正直今回この分析を行うまで想像しなかったことである。
中高一貫校では、大学グループの括りで見たとき指摘したとおり、女子校にこのパターンはない。男子校・共学校に共通するのは躍進中というイメージではないだろうか。「国公立」ですでに高い順位にあるだけに「早慶上智」で順位を上げるのは時間の問題と思える。
C のパターン
巣鴨、暁星、攻玉社、早稲田、雙葉、光塩女子学院、白百合学園、桐朋女子、成蹊、渋谷教育学園渋谷
これまたなんとなく共通している。言ってみれば@とAの間に位置するという感じだ。以前から進学校としての評価が高い伝統校というイメージであろうか。このパターンの私立高校には国際基督教大学がある。ついでに言えば、私立高校はAを除く各パターンに1校ずつあり、私立高校特有のパターンというものはない。
D はいろいろだ。ほとんどどの大学グループでも同順位の海城、芝など。
1校ごとの違いを越えた法則性の存在
今回の分析を通じて明らかになったことは、1校ごとの違いを越えた「法則性」が存在するということだ。学校の性格(伝統)によって、大学グループごとの合格状況にハッキリとした共通性があることが浮かび上がった。これは各高校が意識的にしていることではなく、生徒の学力レベル、家庭の志向性、といったものの帰結なのであろう。だからこそ、こうした「法則性」が生まれるわけである。
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