| 1.近年の大学入試の構造分析
基本的には、少子化傾向が今後も続き18歳人口は減少していく。2009年には大学を選ばなければ全員が大学に入学できる。先般の出生率1.29人をみても分かるように、この傾向はかなり長い期間続くものと考えられる。
こうした少子化は社会にさまざまな影響を与えていくことだろう。また、「学びからの逃走」があちらこちらでみられ、学力格差はますます激しくなっていくことだろう。給与格差、資産格差が学力格差と結びついている点も無視できない。
2.社会背景
?@長引く不況で就職が困難になっている。NHK特集「フリーター417万人の衝撃」は多くの国民に驚きをもって視聴されたことだろう。大学卒業者の就職戦線も厳しくなっている。大学選びも、就職率やその内容に目が注がれるようになっている。
?A教育分野にも競争原理が導入され、いっそうの規制緩和が進んでいる。1985年に臨教審が始まり、教育の自由化が話題となった。最終答申では、結局、個性化という表現にとどまったが、その後の文教政策をたどってみると、この流れは教育の規制緩和となって今日に至っている。大学の独立法人化、通学学区の広域化、公立学校の学校選択、学校の株式会社経営などなど、さまざまな変化が起こっている。ひとつには、産業構造が物の生産から知識集約型の経済に変わりつつあり、日本経済の再生や国際競争力の強化のためには、教育の効率性を考えざるを得なくなっているからであろう。
21世紀COEプログラムは、「大学の構造改革の方針」(平成13年6月)に基づき、平成14年度から文部科学省に新規事業として「研究拠点形成費補助金」が措置されたものである。文部科学省自身が、経済産業省の強い働きかけもあり、研究開発の成果を出した大学に競争的資金を投入することになった。その結果、とくに難関大学において、優秀な生徒獲得競争が今後さらに激しさを増していくことであろう。
3.入試現象
それでは、こうした社会的背景がどのような入試現象を引き起こしているのであろうか。5項目ほどを列記しておこう。
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就職を意識し、実学が学べ、資格が得られるような学部が人気を集める。
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学費負担が入試状況に次のような影響をあたえている。a)生活費がかかる大都市を敬遠し、通える大学を選択する学生が増大している。特に理科系において、この10年、地方旧帝大系大学が早稲田や慶応より人気を集めるようになっている。
?B 10年前と比べ、入試難易度の中位・下位大学は易化が進んでいるが、学力上位レベルの大学はなんかしたままである。
?C 学力下位レベルの大学では生き残りを賭けた学生募集活動が激しくなっている。たとえば、入試難易度を高く見せるために一般入試では合格者を絞り、不足する合格者を推薦入試やAOなどで補っている。一昔前の東京の私立高校がとった方法である。
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学力上位レベルの大学などでは、入試科目を増やし生徒の負担が重くなっている。平成16年度入試から、国公立大センター入試において5教科7科目の大学が多くなっている。また、相当手の込んだAO入試が増えている。中位下位レベルのAO入試とは趣を異にしている。
2.2004年度入試の主な動き
1.人口動態
再び18歳人口がその減少幅を拡大している。2004年度は対前年比51000人減少(96.6%)、2005年度は今年度比65000人(95.5%)減少する。
2.国公立大の動向
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全体的には、5教科7科目化への影響で学力中位〜下位において志願者は減少傾向が続いている。昨年度もおよそ3割におよぶ大学短大で定員割れが起こっているようだ。
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中堅以下の大学においては科目数が受験動向に影響を与えることが多い。科目数が増えると受験者数が減り、易しくなる。1教科入試など極端に教科数が少ないと、受験者が殺到し難化する。
?B 難関大はほとんど影響を受けない。
?C
医学部の難易度は極限に近づいている。
3.私立大の動向
?@ AO入試や推薦入試が多くなり(23万人余りで対全入学者数の38.9%に及んでいる)、結果として併願大学数が減少してきている。
?A難関大学の理工系はどこも受験者数を減らしている。これは、センターの平均点や国立大学との併願関係につよく影響されているものと考えられる。
?B
AO入試は中位下位校を中心に拡大し続けることだろう。エントリー制は夏休み前にスタートしている。早いところでは4月に動き出しているとこともある。
4.その他
?@ 法学部は、法科大学院の設置でそちらに定員を奪われ定員を削減されたため、軒並み難化している。ただし、倍率の低下が、即、易化に結びつくわけではないの注意。
?A
就職状況を敏感に反映する志望動向。医歯薬獣医の人気は、とどまるところを知らない。看護・医療系の人気も継続している。また、この数年、教員の新規採用数が増えてきたことで、教員養成系の人気が復活している。
?B 私立女子大の人気が回復している。
?C 大学の新設や学部学科の増設・改編がさんかんである。学部は、受験生に人気のある医療系福祉系が中心である。
?D
早稲田大学国際教養学部や秋田国際大学など新しいタイプの学部が登場し始めた。
3.大学入試の仕組み--志望校決定から合格・大学入試までの流れ
(1)高2以前
?@ 安易な志望学部・大学決定は避けたい。
目前のマスコミ報道などに惑わされるは避けたい。親を含めた大人の助言を参考にじっくり自分の特性を考えながら決定することが必要である。出来るだけ早い段階で、自分の将来を展望していきたい。
?A 志望校決定・本格的に受験勉強を始めるのはどの時期がいいのか。
高校1、2年の段階で多きなさが出ている。あるデータによれば、学力上位層では、約50%が高2段階までに受験勉強に入っているのに対して、学力下位層は訳35%程度である。
難関国立大学の合否を決定するのは高校1年2年の勉強量であると言ってもいい。
?B
難関国立大学合格のポイントは、センター試験と2次試験の学力バランスがうまく取れていることが必須の条件である。
?C 入試本番のイメージを早めに植えつける。つまり、少なくとも1年前にはセンターや2次試験の問題を解いておく必要がある。出来不出来は差し当たりあまり問題にしないことである。
(2)高3になってから
?@大学の中身をチェックしよう
学部・学科内容は自分のニーズにあっているか。カリキュラムは充実しているか。中堅以下の大学では、基礎ゼミ・担任制の充実がポイント。キャリア指導(大学院進学・就職など)にも目を配りましょう。
?Aますます入試方式が複雑化しています。入試科目の変化など入試情報の把握と分析はとても重要です。大多数の大学がインターネットで早期に入試要綱を配信しています。志望校の情報は早めにゲットしよう。
?BAO入試はかなりのスピードで普及しています。今後、更に国立大学後期試験や公募制推薦の代替として導入する大学が増えそう。
?C夏から秋にかけて学力の推移を見ておこう。茗渓では6月、8月、9月、10月の模試を義務付けています。年間4回、同じ業者の模擬試験を受けておきたいものです。更に余裕のある人は他社のものを受けてもいいが、なるべく同じ業者のもので推移を見たほうが的確な判定ができます。また、特定大学志望者は、それ専用の模試を受験する必要があります。
?D難関大学では、今まで以上に受験生の本物の実力を問い始めています。いかに本物の実力を付けるかがポイント。 |