K I R I
 — 2020年 8月号

いま、大学は

コロナ禍のなかの大学運営

朝日新聞と河合塾が「ひらく日本の大学」でコロナが大学の運営に関してどのような影響を与えているか14項目に関して緊急調査を行った。調査は6月24日から7月27日にかけ国公私立768大学に行い、652大学から回答を得た。調査結果はアンケートに協力した大学には開示しているが一般には窺い知ることができないので、朝日新聞の報道によることとします。以下、影響が大きい順に項目を列記する。
  1. 授業の実施方法:オンライン指導だけで大学のキャンパスに足を踏み入れたことのない生徒も数多くいる。奈良県立医科大は「新たに作成するオンライン教材で予習した知識や理解を確認したり、議論したりする『反転授業』の導入を検討している」と書いた。(注)『反転授業』とは、あらかじめ家庭で課題を予習し、大学ではそのテーマに関してディベートなどをおこなう指導方法。コロナの影響が長引く場合だけでなく、今後この指導法が大学で一部定着することが考えられる。
  2. 学生募集:応募人数が大幅に落ち込む大学・学部も出てくるだろう。
  3. 就職活動:コロナ不況で採用を減らす企業が出てくることが予測される。また、人件費削減の観点からAIの活用により採用を減らす職種も増える可能性がある。
  4. 留学生:東京外語は「学生の70%程度が経験するほど留学が大きな位置を占めているが、渡航制限等により送り出し受け入れができず、再開時期も見通せない」と嘆く。また、今春の入学生から海外留学を必須とした千葉大は「派遣・受け入れともに、コロナ前に戻るには5年以上かかる」との見方を示した。
  5. 退学・休学:学費や生活費が払えない生徒が出てくるだろう。また、キャンパスに通って学生が得られる利益が失われ、学費が適正かどうかという議論も起こる可能性がある。
  6. 大学の経営状況:附属病院をもつある東京都の私立大は「収入の約80%を占める医療収入の減収で、当初の事業計画を再検討。今後の中期計画への影響も心配だ」と答えた。
なお、オープンキャンパスを中止もしくはオンラインで説明会を行っている大学も多い。

2021年度入試の行方

医歯薬看護などが軒並み志願者数を減らしている。しかし、同じ理系でも、医療技術や情報・メディア、生命は堅調で、理工もじわじわ伸びている。20年度には理系人気が高く文系人気が低い「理高文低」傾向が明確になったが、21年度も同じ傾向が続きそうだ。理系は基本的に国公立志向が強いが、とくに地方では地元の国公立大学を目指す生徒が増えると予測する受験通が多い。志があれば、医学部など狙い目かもしれない。当然のことながら、世界的にコロナ禍の終息が見通せないなか、留学を必修とする大学・学部は敬遠されるだろう。

そんな中、公立大学法人県立広島大学が新たに設立予定の叡敬大学が目を引く。入試では推薦が70名、留学生が20名、一般はわずか10名だ。英語力強化と留学生を受け入れやすくするため、講義は同じ科目を日本語と英語で開講。卒業に必要な単位の半分を英語で履修することを義務付けている。

※この原稿を書いている最中、以下の2つのニュースが飛び込んできました。
  1. 大学入学共通テストの第1日程(1月16日17日)希望者が約43万1千人。第2日程(同30日31日)希望者が約3万2千人で1割弱。(文科省)想定の範囲でした。
  2. 文科省が求めていた出題範囲の縮小は、国立大の7割がなんらかの形で配慮する模様だ。ただし、配慮しない大学は、東大、京大、早慶など31大学。東大は、「多岐にわたる知識を総合的に判断する問題なので、現在の状況でも受験生は対応できる」としている。また、横浜国立大学は、「受験生が安心して入試に臨む場を提供するのは難しい」として、学力検査を取りやめ大学入学共通テストと自己推薦書などをもとに合否判定するとしている。