講師インタビュー

後藤先生に英検とTOEICの違いについてうかがいました。

後藤先生 英語科 後藤先生(英語資格試験対策室 室長)
横浜生まれ横浜育ち。大学では経営学・マーケティングを専攻。卒業後は貿易商社に勤め、営業・バイヤー・社内通訳といった職種に従事。このときの人脈を活かしてオーストラリアに渡りシドニーで2年間暮らす。帰国後は以前から就きたかった英語教師という仕事に180度方向転換。大手英会話学校でTOEICや英検の指導・講師トレーニング等を担当。茗渓予備校には2003年から勤務。英検1級・TOEICスコア990。


英検とTOEICの違いは?

英検
正式名は「実用英語技能検定」です。公益財団法人日本英語検定協会が実施する英語技能の検定です。一般に英語検定または英検と呼ばれています。英語に関連する検定としては日本では最も長く行われています。日本英語検定協会によると2012年度の志願者数は約231万人となっています。試験の回答方法は4肢選択を基本としており、準1級および1級では一次試験に英作文が含まれ、3級?1級では二次試験として英語による面接試験があります。志願者の割合は、全体としては中学校と高等学校の生徒が約8割となっていて、級別では5級で小学生が約3割、準1級で社会人が約4割および大学生が約2割、1級で社会人が約7割となっています。

TOEIC
正式名は「国際コミュニケーション英語能力テスト」Test of English for International Communication通称TOEIC(トーイック)。英語を母語としない人を対象とした、英語によるコミュニケーション能力を検定するための試験です。試験の開発、運営、試験結果の評価は、アメリカ合衆国の非営利団体であるEducational Testing Service(教育試験サービス、ETS)が行っています。TOEICは英語力を測る国際的なテストとして知られています。ETSによると世界150ヶ国で実施され約700万人が受験しています(2012年度)。試験は、リスニング 100問とリーディング100問の計200問の構成となっています(注)。身近な事柄からビジネスに関連する事柄まで、幅広くコミュニケーションを行う能力を測る目的で作られています。評価は、聞き取りと読解でそれぞれ5点から495点までの5点刻みで行われ、合計では10点から990点となり、これらのスコアが認定されます。合否判定はなく、受験時におけるスコアを認定する制度を採用している。これは前回お話しした「TEAP」と似たシステムです。

(注)2007年からTOEIC SW(スピーキング+ライティング)テストが実施されています。実施に至った背景としては、従来のマークシートテストでは会話能力や作文能力が測れないという難点があり、特にプレゼンテーション、音読、電子メールや論文の作成問題等、マークシートでは測れなかった部分を補完しています。

英検とTOEICのどちらを受験すればいいですか?

最近中学生・高校生の間でもTOEICの受験者が増加しています。保護者様や生徒さんからも「TOEICと英検はどちらを受けるのが良いでしょうか」とのご質問を受ける機会も増えています。確かに最近はTOEIC人気に英検が押され気味にも思えます。一般社会人や大学生の間ではTOEICが国内で最もポピュラーな検定となっていますが、英検は中学生・高校生には大きなメリットがあります。その理由は英検が受験者の能力に応じて7段階にレベル分けされているため、段階的に能力を上げる学習に適しているからです。また、どのレベルにいる人も同じ検定を受けなければならないTOEICは英語初学者~中級者である中学生や高校生には不向きである場合があるからです。初級者向け問題から超難関問題まで難易度の振り幅がとても大きいのです。ですから英検準1級を取得したあたりからはTOEICに対しても腰を据えて取り組むことができると思います。また、扱われるトピックもビジネス寄りで中高生にはもう一つピンとこないかもしれません。逆に、大学生になってからは、就職時にも有利ですのでぜひTOEICを活用していただきたいです。

英検2級の難易度はセンター試験のレベルとほぼ同じですので、英検2級合格の力を付けた後スムーズに大学受験準備に進むこともできます。また、いわゆる早慶上智の入学試験の語彙・文法は英検準1級レベルとほぼ同等と言えます。