英検ではReadingセクションの冒頭で15問〜25問の四択語彙(単語・熟語)問題が出題されます。高校入試や大学入試と比べると出題数も多く、さらに現行の英検配点では読解も語彙も同じなため、かなり大きなウェイトを占めています。

対策としては、コツコツと単語集などを使って覚えていくより他ありません。無論、英語文章(本・雑誌・新聞)を読んだり英語放送(テレビ・映画・ラジオ)を聞いていく中で遭遇した語彙をその生きた用例と前後の文脈とともに覚えるのが本来なら理想的なのですが(ちなみに小学生で英検2級以上に受かるような子は多読・多聴のゴリ押しで語彙を鍛えます)、普通の中高生が短期間で効率よく受験対策をするにはやはり単語集を使用するのが一番の近道です(これはSATなどを受験する英語ネイティヴの学生でも同じです...最近語彙の比重は下がりましたが)。

中1から英語学習を開始した中学生の場合、まず英検4級に関しては学校教科書に収載されている語彙を覚えておけば事足ります。3級から準2級にかけては旺文社『でる順パス単』を使用して語彙学習を行います。その後、一つの岐路に達するのが2級です。大学附属校の生徒であれば引き続きパス単を使用してもいいのですが、進学校生の場合、この辺りで大学受験用の単語集に切り替えるのも一つの手です。英検2級はセンター試験に相当する難易度になっていますので、世の一般的な大学受験用英単語集であればだいたい英検2級の出題範囲も網羅されています。同じ旺文社から出版されている『英単語ターゲット1900』ですと、収載語数は文字通り1900語。早慶レベルの語彙も網羅しているので後ろの方には英検2級の範囲を超える語彙も少々含まれています。熟語に関しては別冊子(英熟語ターゲット1000)になります。一方、パス単2級は1704語収録。これには熟語も含みます。

実際のところ、パス単と大学受験用単語集とを比較した場合、どちらの方により英検で出題される語彙が載っているのでしょうか。先の英検(2018/10/7)の問題を使って少し調べてみました:

2018年度第2回(日曜実施)英検2級
大問1番号 収載単語集 単語集番号
01. directly でる順パス単2級 0509 (direct)
でる順パス単準2級 0644 (direct)
でる順パス単3級 0629 (direct)
英単語ターゲット1900 0291 (direct)
02. features (動詞) でる順パス単2級 0280
でる順パス単準2級 0957
英単語ターゲット1900 0148
システム英単語 0277
03. urgent 英単語ターゲット1900 1093
システム英単語 1127
04. celebration でる順パス単2級 0816 (celebrate)
でる順パス単準2級 0609
でる順パス単3級 0401
英単語ターゲット1900 0515 (celebrate)
システム英単語 0171 (celebrate)
05. concept システム英単語 0387
06. deceive 英単語ターゲット1900 0924
システム英単語 0736
07. statistics でる順パス単準1級 0154
英単語ターゲット1900 0362
システム英単語 0808
08. formation でる順パス単2級 0991
英単語ターゲット1900 0855
09. handle でる順パス単準2級 0766
英単語ターゲット1900 0429
システム英単語 0218
10. restore でる順パス単準1級 0039
でる順パス単準2級 0150
英単語ターゲット1900 0837
システム英単語 0750
11. from time to time でる順パス単準2級 1369
英熟語ターゲット1000 0191
12. in demand でる順パス単2級 1662 (on demand)
でる順パス単2級 0085 (demand)
英単語ターゲット1900 0036 (demand)
英熟語ターゲット1000 0582
システム英単語 0024 (demand)
13. stand out でる順パス単準1級 1803
でる順パス単2級 1250
でる順パス単準2級 1471
英熟語ターゲット1000 0266
14. in the meantime でる順パス単準1級 1695
でる順パス単2級 1226
15. come to でる順パス単準1級 1621
でる順パス単準2級 1351
英熟語ターゲット1000 0347
16. lose face なし N/A
17. answer for なし N/A
18. despite でる順パス単2級 0405
でる順パス単準2級 0733
英単語ターゲット1900 0199
システム英単語 0600
19. feeling (分詞構文) なし N/A
20. regret to でる順パス単2級 0870
でる順パス単準2級 0829
英単語ターゲット1900 0437
システム英単語 0615


1のdirectlyはいずれの冊子にも見出語としては収載がありません(ただし形容詞/動詞directの項目に派生語としては記載あり)。16のlose faceはDUO 3.0(958番)などには載っています。17のanswer for(~の釈明をする、to explain to people in authority why you did something wrong or why something happened, and be punished if necessary)は熟語としては手元にある単語帳では見つかりませんでした。19のfeelingについては、動詞feel自体は無論パス単4級などに載っていますが、これは分詞構文の文法問題なので省きます。

Reading Section 1 大問1の20問中:
  • でる順パス単2級 ... 問。
  • 英単語ターゲット1900 ... 12問。
  • 英熟語ターゲット1000 ... 問。
  • システム英単語 ... 11問。
意外にも大学受験用単語集がパス単を上回る結果となりました。英単語ターゲット1900には20問中12問が載っていて、これらに全て正解すると得点率6割、さらに残りの8問を仮にランダムに選んだとしても4択なので2問前後は正解するでしょうから、合格ラインは楽に超えます。一番大きい番号が1093ですから、Part 1(センターレベル)とPart 2(MARCHレベル)の冒頭部くらいまで覚えておけば十分でしょう。一方、パス単の場合、後半に収録されている熟語分もあるので、1250番まで学習を進めなければ9問には到達しません。いずれにしろ、受験回によって違いもあるでしょうが、英検2級対策の語彙教材としてはターゲットやシス単などの大学受験用単語集とパス単とで大きな差はないものと思われます。

パス単を使用する場合、一度その対象級に合格してしまうとその後も継続して使うのは何か気が引けてしまうという難点があります。無論、ずっと使い続けていってもまったく構わないのですが、大学受験本番までに語彙を完璧に仕上げるため2周、3周と回していくとなると、やはり妙な感じは否めません。2級合格後に大学受験用単語集に切り替えるという手もありますが、重複があるので非効率的ですし、単語集はあれもこれもと手を出すよりは一冊に絞って繰り返し回して完璧に仕上げる方が学習効果は高くなります。その点、大学受験用単語集だと(あたり前ですが)大学受験まで一冊を継続して使用することができます。ターゲットなどの一般的な大学受験用単語集レベルの語彙を全てマスターしてそれより上のレベルの語彙対策をしたい場合にはパス単準1級などを使用していきますが、これはもっと先の話で、英検2級合格したばかりの段階ではまだちょっとレベルが高すぎます。

英検2級の受験前だと、少しでも合格率を上げたいがために名前からして出題範囲そのものズバリ網羅してそうなパス単2級を使いたくなるのが人情でしょう。しかし、よっぽど英語が苦手で長期間にわたって2級対策をしていくことになりそうな人でもないかぎりは(多くの茗渓予備校生は中3から高1の間にパス単2級の冊子を半分も終わらせないうちにサクっと2級合格してしまいます)、大学受験生ならこの段階で受験用単語集に切り替えるのも一案かも知れません。


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